セクションアウトライン

  • 2013年3月2日(土)
    Yoichi Okabe
    岡部 洋一先生 (放送大学学長)

    放送大学におけるICT支援教育

    放送大学は、放送と郵送を主たる手段とした通信制大学であったが、この数年、Moodle の利用も含め、急速にICT化を進めている。しかし、そこにはいくつかの課題も残されている。これら課題のいくつかは、放送大学だけの課題ではなく、おそらく日本の大部分の教育機関の課題であり、それが日本の教育のICT化を阻んでいるように感じられる。
    放送大学は学制も独特であり、その紹介、ICT化への取り組み、抱えている課題などを紹介しながら、現在の一般の大学との対比点や相似性を明白にし、一般の大学の将来方向に対するコメントを交えながら、日本のICT教育に関する問題提起などを行なう。

    Michael de Raadt マイケル・ド・ラート氏 (Moodleの開発管理者)

    動機、採用、様態

    「どの様にしたら先生たちにムードルを使ってもらえますか?」この質問を何度受けたことでしょうか。この問いに対して、私はまず、ユーザに学習管理システム(LMS)を使ってもらう動機付けという点から提案を行います。次に「採用理論」に基づき、革新技術の採用において様々なレベルに居るユーザたちを如何にして教育テクノロジーの積極的使用に導くかを示します。最後にこの視点から現れてくる教育と学習のいくつかの様態を提示し、それらがオンラインやブレンディッドラーニングのなかでどう実際に応用できるかを述べます。

    2013年3月3日(日)
    Martin Dougiamas マーティン・ドゥーギアマス氏 (Moodle取締役)

    教室に戻って (遠隔講演)

    ムードルは世界で高い人気を博していますが、未だにその使用法に関して非効率な点が見受けられます。ムードルの使用者や開発者は教育者だけでなく、デザイナーやエンジニアも居ます。そこで我々は如何にして無駄な労力を削減しつつ学習アウトプットを高めることができるか、という問題に取り組んでいます。
    マーティンは上記目標を達成するためにムードル本部が注力している三つの主要開発テーマについてお話しいたします。
    1) 開発や配布やプラグインの維持管理などについてバージョンを超えてより良いシステムとなるような、プラットフォームとしてのムードル
    2) 教育、管理、特に研究に従事するユーザ間でアイディアやコンテンツを交換し合えるような広範囲なツールを含む、ムードルコミュニティー
    3) 解析ツールや使用感の向上、パフォーマンスの向上などを含みムードルが研究活動にとってより強力なツールになるためのムードルコアの改善。これは特に学習研究活動の改善を目指すもので、その結果がまた将来的なコアプログラムやプラグインの開発を導くものになるのです。
    そういうわけで、我々が研究活動に焦点を当てたということは、「教室に戻って」何がうまく行って、何がうまく行かないのかを検証する機会を作るということになり、学習者にとっても教師にとってもコンピュータが強力なパートナーとなり続けるようにするという我々のゴールに沿ったものです。
    Tatsuya Shirai 白井 達也先生 (鈴鹿高専)

    Moodle +/-5年 高等教育機関向け学習支援環境から次のステップを考えてみよう

    2007年3月にMoodle1.8が公開されてから6年が経過した.その1年後のMoodle1.9の公開を経て,2年前の2010年11月末に大幅に機能が改良されたMoodle2.0が公開された.本講演では過去5年間のMoodleの機能上の変化と国内でのMoodleの利用状況の変化について振り返り,さらに今後の5年間でMoodleにどのような変化が望まれるのかを機能,利用方法,用途について予測する.以前はパーソナルコンピュータ中心であったコンピュータ環境は,スマートフォンやタブレット端末が爆発的に普及するなど大きく変化した.加えて日本国内では高性能な携帯電話が広く普及していた特殊事情もある.一方,Moodleは主に大学等の高等教育機関を中心に用いられてきたが,行政機関や民間企業での活用も広がり始めている.高校,中学校,小学校では電子教科書や電子黒板などのICT機器とデジタルコンテンツの活用が予想される.中学校でもコンピュータプログラミングの学習が必履修化するなど,大学以外にもMoodleの有効活用が期待されるフィールドは広がりつつある.私自身は未来を予測できる能力は無い.moodle.orgなどで広く意見や情報を集め,報告する.