基調講演者
セクションアウトライン
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クリス・サングウィン
エディンバラ大学 教授
人工知能はSTACKとMoodleによる数学の自動採点に何をもたらすか
人工知能(AI)が広く使われるようになり,非常に便利にもなりました。しかし,教員が学生に自分の力で取り組んでもらいたいと思う課題に対して,学生がAIを使うとすれば,AIは脅威ともなりかねません。この講演では,数学教育にテクノロジーを導入することで得られたこれまでの教訓(例えば,電卓の事例)をもとに,現代のAI利用について考えます。次いで,AIを導入することで,私たちがどのように数学教育の目標にねらいを定めることができるかを議論します。最後に,STEM教育におけるオープンソースのオンライン評価システムであるSTACKプロジェクトが,これから学生や教員,教育機関を支援するために,どのようにAIを活用しようとしているかについて述べます。
講師略歴
2015年より現職。専門は科学教育のテクノロジーによる高度化,特に教育デジタルテクノロジーやコンピュータ代数を用いた数学の自動評価に関心を持つ。『Computer Aided Assessment of Mathematics』や一般向けの『How Round is Your Circle』など,物理モデルによる数学と工学のつながりを解説した多くの著書がある。
中村 泰之
名古屋大学 教授
日本におけるSTACKの導入期・普及期・定着期を経験して
Moodleの問題タイププラグインの一つであるSTACKは,数式で入力された解答を自動評価することのできるシステムの一つですが,解答を評価する機構であるポテンシャル・レスポンス・ツリーを活用することで,単なる正誤評価だけでなく,部分点評価により学習者の理解状況を推測することも可能です。2025年で,STACKは個別システムとして発表されて以来20年,日本語化されて以来15年となりました。この間のSTACKの動向を見聞きしてきた一人として,これまでを振り返りたいと思います。また,STACKの特徴を踏まえて,講演者らが取り組んできた解答データの分析事例について紹介します。
講師略歴
2023年より現職。専門は教育工学,物理・数学教育,計算・統計物理学,等。テクノロジー活用型教育に関する著書に,『数学eラーニング』『先生のためのCBT問題事例&作成ガイドブック 高等学校 数学・理科』(共著)等がある。
八木 街子
自治医科大学 准教授
Moodleを用いた医療者教育:看護教育実践から見る学習分析と教育設計
医療者教育におけるMoodleの活用は、学習者中心で柔軟な教育を可能にしている。本講演では、医療系教育機関におけるMoodle利用の現状を概観し、特に看護師教育での具体的実践例として、シミュレーション教育と組み合わせた活用を紹介する。さらに、学習分析によって得られるデータを教育設計に応用し、学習者のエンゲージメントを促進する学習支援について示す。Moodleは単なる学習管理システムではなく、データに基づく教育改善を支えるツールとしての可能性を提示する。
講師略歴
2023年より現職。看護師、大学教員を経て渡米。SimTiki Simulation Center John A. Burns School of Medicine, University of Hawaii at Manoa にてシミュレーション教育を学ぶ。Certified Healthcare Simulation Educator ®︎、米国看護師免許取得。現在は看護師の特定行為研修を中心に教育研究業務を行っている。

アリオト・ジナ
Product Manager, Moodle Learning Experience, Moodle HQ
Moodleの価値を最大限に引き出す:ルーブリックとタスクベース学習の再発見
Moodle HQによる最新の研究では、中等教育と高等教育におけるユーザーエクスペリエンスに焦点を当て、Moodleユーザーが既存の機能と、学習者と学習成果への影響の可能性を再認識する必要性が常に示されています。 本プレゼンテーションでは、このニーズに対応するため、Moodleのコア機能を活用して、タスクベース学習 (TBL)、能力別評価、堅牢なルーブリック設計を含む、高度な教育および学習方法を効果的にサポートする方法を探ります。言語指導にとどまらず、様々な分野での応用も視野に入れます。 Moodleの長年の基盤となる機能に基づきながら、将来のリリースにおける開発についても言及することで、参加者は現在のMoodleへの投資を最大限に活かすための実践的な洞察を得ることができます。
講師略歴
ジーナ・アリオトは、Moodleのラーニングエクスペリエンス担当プロダクトマネージャーで、バルセロナを拠点に活動しています。20年以上のグローバルなプロダクト、プロジェクト、デリバリーマネジメントの経験を有し、サンフランシスコ湾岸地域出身です。アメリカ、ヨーロッパ、日本のチームと幅広く連携した実績があり、Midokuraでの勤務やソニーセミコンダクターとの協業など、異文化間のパートナーシップ構築とユーザー中心のソリューション開発に貢献してきました。バルセロナ大学(Universitat Pompeu Fabra)で、中高年教育学修士号を取得しており、英語、カタルーニャ語、スペイン語、日本語に堪能です。
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